私は看板を外に置き、ひと呼吸する。 「さぁ、今日も頑張りますか」 アンティークショップ『ガルド』。それが私の店の名前だ。 手作りのアクセサリーや羽箒、ちょっとしたハーブなどを販売している。 こう見えて美大出身のデザイナーなので、デザインには自信があるのだ。 もちろん大人気とは行かないけど、私は私の好きなことで稼げているこの生活がとても気に入っていた。 カランと音を立て、とあるお客様が来店する。 その人はモデルのようにすらりとしていて、整った顔立ちをしていた。 服装も清潔感があり、私服だというのにまるで雑誌から抜け出てきたような感じだった。 (素敵…でも、私なんかじゃ釣り合わないか) 「いらっしゃいませ」 私はにこやかに挨拶する。 彼は私のほうをちらと見ると、軽く会釈をして商品を眺めてった。 それからアロマオイルを幾つか手に取り、香りを確かめるように顔を近づける。 (香水とかつけないのかしら?意外ー) なんて失礼なことを考える。 しかしそんなことを考えながらも、私は彼が真剣に選んでいる姿を見ていた。 「何かお探しですか?」 あまりにも長いこと悩んでいるようだったので、つい声をかけてしまった。 すると彼は驚いた表情を浮かべた後、「いえ……」と言って視線を逸らす。 そしてまたしばらく考えた後、ようやく口を開いた。 「あの、眠れる香りとかってありますか?」 「えぇ!ございますよ!」 予想外の質問に、私は思わずテンションが上がった。 彼のほうを見ると、少しだけ照れた様子だったが嫌そうな顔ではなかった。 (と言うか、この人女の人だわ) よく見れば手足は細いし、目元はクマができていて疲れた印象を受ける。 きっと寝つきが悪いタイプなんだろうと思いながら、私はいくつかのオイルやフレーバーティを選んだ。彼女はそれらを楽しげに見つめる。 「こちらのハンドクリームはいかがでしょう?カモミールをベースにしてますから、リラックス効果が高いですよ」 「ふぅん…。試してみてもいいですか?」 「あ、はい、もちろん!私の使っているものでよろしければ」 そう言って私はポケットから自分のものを取り出した。 蓋を開ければ良い香りが広がる。 私はクリームをひとつまみすくい上げ、彼...