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りさに片想いしてる舞さんが「りゃんのばか」って胸の中で噛みしめる時って…たぶん、こんな瞬間たち。

自分はずっと目で追ってるのに、りゃんは別の誰かに優しくしてる
 "なんで私じゃないのよ"って、笑いながら刺さるやつ。

一歩勇気を出した途端、りゃんが鈍感にすり抜ける
 微妙な空気に気づかず、あっさり「またな」って帰っちゃう。

リアクションが可愛いとき
 落ち着いていたいのに、胸が勝手に跳ねて「ばか…好きにさせないでよ」ってなる。

自分のことを信じてくれる時
 期待したくないのに、優しさが都合よく刺さる。"そんな顔で見ないで…希望が生まれるから"。

無防備すぎて守りたくなる時
 「そんなに隙だらけじゃ、誰かに取られるでしょ…ばか」。


ねえ。
その「ばか」って、ほぼ告白と同じ熱量なんだよね。

舞さん、自分で困りに行ってる。
でも止められない。
そのジタバタが、片想いの一番いいところでもある。


了解、りゃんに片想いしてる舞さん――
「ばか」を飲み込む瞬間を、ひとつ。


---

閉店間近のカフェ。
照明は少しだけ暗くなって、落ち着いたジャズが流れてる。

りゃんは常連の小さな子にハーブティーの作り方を、屈託なく教えていた。
優しい声。
簡単な仕草。でも…その距離が近い。

舞はコーヒーマシンの奥で、つい目線が止まる。
その無防備な笑顔に、胸がぎゅっと縮む。

(なんでそんな顔、誰にでも見せるのよ…)

小さな子が帰ったあと、りゃんはふっとこちらを向く。
「あ、舞さん。今日のコーヒー、香りめっちゃ好きだった。なんか…落ち着く」

そんな何気ない一言。
それなのに心が浮く。浮いた自分に腹が立つ。

「そ、そう…? ありがと」
声が少し上ずる。悔しい。

りゃんは気づかずに笑う。
前歯のすき間が愛しいほど無防備に。

(……ばか。)

目に出すわけにはいかない。
プロの顔に戻して、カウンターを磨く。
けれど指先に力が入りすぎて、布がきゅっと鳴った。

「舞さん、大丈夫?」
覗き込むように心配するその距離がまたずるい。

(優しくしないで。期待しちゃうから)

胸の中で呟いた「ばか」は、小さくて、苦くて…
そして、どうしようもなく甘かった。


了解。
舞が「意識し始めてしまった」最初のひっかかりだけを、短く。


---

雨上がりの夕方。
カフェの前の石畳がまだ濡れて、灯りが反射している。

「すみません、これ…落としましたよ」

背後から声。
差し出されたのは、舞のエプロンのポケットから落ちた小さなメモ。
りゃんだった。

いつもの無表情に近い顔…のはずなのに、
湿った前髪が頬に貼りついて、少し息が上がっていて。
その姿が、不意に胸を掴む。

「走って拾ってくれたの?濡れちゃうのに」

言ったあと、しまったと思う。
急に距離が近くなったみたいで。

「べつに。…大事そうに見えたから、さ」

りゃんの指先が、舞の手に触れた。
ほんの一瞬。
なのに、鼓動だけが大げさに跳ねる。

(なに、それ…)

気のせいだ、と笑い飛ばしたい。
でも視線が勝手に追っていく。
背中が妙に気になる。

カウンターに戻っても、手元がふわつく。
こんなの、自分らしくない。

胸の内側で、まだ小さな声。

(ばか。ちゃんと気づかせないでよ…)

それが、舞の始まりだった。


夕方のカフェスロー。閉店前、客はほとんどいない。

舞はカウンターで、棚の奥に手を伸ばしていたりゃんの横顔を盗み見て、ふっと視線をそらした。
なにこれ、胸がざわつく。

いつもみたいに軽口を叩けばいい。
「りゃん、砂糖こぼしてるわよ、どじっ子さん♪」
そう言うつもりだったのに、声が出ない。

りゃんが振り向いた。
「舞さん、これで合ってる……よね?」
少し不安げな顔で差し出されたラテ。
ミルクの泡が、ちょっとだけ不器用にハートの形。

その瞬間、舞の指先にじんわり熱が宿る。
こんな下手なハート、可愛いとか思う自分が嫌だ。

(あたし、なにしてるの……?)

りゃんは気づかず、真面目な顔。
それがまたずるい。
真っ直ぐで、不意に優しい。
守りが強いくせに、隙だらけ。

「……ありがとう。上出来よ」
いつもの調子で笑ったつもりが、ちょっと声が震えた。

りゃんが、ほっとしたように笑う。
その前歯のすき間まで愛おしいと思ってしまって、舞は自分に小さく舌打ちした。

——ああ、面倒なのが始まった気がする。

ハートの模様をスプーンで崩しながら、舞は気づかないふりをする。
視線はカップに落としたまま、心だけが彼の方へ引っ張られていく。

「りゃんのばか」
口には出さない。
でも、その言葉は、もう少し甘い。



理由って、ひとつに絞れない気がする。
舞の中で、いくつか小さな「ひっかかり」が重なっていったんじゃないかな。

例えば——

弱さを隠してるくせに、ふと零す寂しさ
 舞はそういうギャップに弱い。放っておけなくなる。

頼られたときの、あの不器用な安心感
 守りたいのか守られたいのか、自分でもわからなくなる。

触れたら壊れそうで、でも近づきたいと思う距離
 理屈じゃない。危うさに惹かれる。

「自分を必要としてくれるかもしれない」予感
 優越でも慈愛でもない。二人だけの秘密みたいなもの。

目が合ったときに、予想外に心が跳ねた
 たった一瞬。ばかみたい。でも忘れられない。


舞は自分の保身が強いって自覚してるから、
気づかないフリを続ける方が楽だったはずなのにね。

でもそのうち、

意識しちゃった自分を否定できなくなった。

「なんで?」って問われたら、
きっと舞は肩をすくめて笑うだけだろう。

——気づいたら、好きになりそうで怖かった。
 そんなところ。


もちろん。
短く区切って、五つの「小さなひっかかり」を順番に。

――――――

1. 弱さを隠してるくせに、ふと零す寂しさ

閉店後のカウンター。
伝票の計算に手間取って、りゃんがため息を落とす。

「……なんで俺だけこんな不器用なんだろうな」

ぽろっと出た声が、妙に孤独だった。
舞はレジの操作を教えながら、胸の奥がざわつくのを誤魔化した。

「そういうところ、嫌いじゃないけど?」

冗談のつもりが、少し本音。

りゃんは照れたように俯いて、舞は自分の鼓動が速くなるのを気づかれないようにした。

――――――

2. 頼られたときの、あの不器用な安心感

雨の日。
濡れた髪を拭きながら、りゃんがぼそっと言う。

「舞さん……その、今日も一緒に閉めてくれると助かる」

素直に頼られたことなんてなかったのに。
ただそれだけの言葉で、胸が温かくなる。

「しょうがないわね。特別よ」

言いながら、内心ではちょっと嬉しい。

――――――

3. 触れたら壊れそうで、でも近づきたいと思う距離

グラスを落としそうになったりゃんの手を、舞が咄嗟に掴む。

細くて、ひどく緊張してて、少し震えてる。

(あ……)

触れた瞬間、相手の脆さが伝わってきて、
舞は手を離すタイミングを失った。

「……ありがとう」

りゃんの声が耳に残りすぎて、舞は視線を逸らした。

――――――

4. 「自分を必要としてくれるかもしれない」予感

夜、シャッターを下ろしたあと。

「舞さんがいると、安心する」

不器用な言い方のわりに、真っ直ぐ刺さる言葉。

必要とされたいわけじゃない。
でも、求められている感覚が嬉しかった。

知られたくないのに、見透かされてしまいそうで。

「……変なこと言うじゃない」

笑って受け流しながら、心臓の音だけが騒がしい。

――――――

5. 目が合ったときに、予想外に心が跳ねた

カップを渡す瞬間、ふと目が合う。
りゃんが微笑んだ。

たったそれだけ。
それなのに、

(やめてよ……そんな顔)

舞は慌てて視線を落とし、
カップの縁を指でなぞって誤魔化した。

気づきたくなかったのに、
気づいてしまった。

これはもう、誤魔化せないやつだ。

――――――

積み重なった些細な瞬間が、いつの間にか境界を越えていた。
舞はまだ言葉にしない。
でも心は、とっくに動いていた。


そういうときって、理屈より先に身体が反応するよね。
「いま、こいつ…私の内側を見た?」みたいなやつ。

舞の場合は、たぶんこんな感じじゃない?

りゃんは不器用で、言葉の選び方も下手なのに、
ふとした拍子に核心を突いてくる。

しかも本人は気づいてなくて、
ただ真面目に、思ったままを言うだけ。

だから余計に刺さる。

自分でも隠してる弱さとか、
強がりの下にある本音とか、
触れられたくない場所に手を伸ばされる気がする。

バレてない…よね?
って確認したくなるような、あのヒヤッとする感覚。

嫌じゃない。
むしろ、誰かに気づいてほしかったのかもしれない。

でも気づかれたら、逃げたくもなる。

舞の中で、
引き寄せたい気持ちと
見破られたくない防御が
いつも綱引きしてる。

その綱、だんだんりゃんの方へ傾いてるの、
舞はきっと知ってるんだよ。



夕方、客足が引いたカフェスロー。
りゃんが在庫チェックの紙を片手に、ふと舞の方へ顔を向ける。

「舞さん、今日…なんか無理してる?」

その言葉に、舞の指先が止まった。
レジ横のグラスを磨く手が、不自然なくらい固まる。

「は? べつに。いつも通りよ」
笑い飛ばすつもりが、声が少し乾いた。

りゃんは首を傾げた。
疑うでもなく、責めるでもなく。
ただ、気づいてしまった顔。

「なんか…眉間に力入ってたから。
 誰かに怒られた?」

一瞬、心臓が跳ねる音が聞こえた気がした。

(なんで……わかるのよ)

昼間、オーナーに言われた小言。
見てないはずなのに、触れてほしくないところに指が伸びてくる。

「観察しすぎよ、あんた」
そう言いながら、舞は目線を逸らす。

りゃんは少し困ったように笑った。
それがまた腹が立つほど優しい。

「舞さんが無理してたら…嫌だし」

その一言が、胸の奥の硬い部分を軽く叩いた。
冗談でも営業でもない。
じわっと響く。

舞は深く息を吸い、
笑顔を作り直す。

「……そんな顔で言わないで。
 落ち着かないでしょ」

知られたくなかった。
でも、見てほしくなった。

その狭間で、舞はひっそり舌打ちした。
ばか。ほんとに、見透かしてくる。


夜の片付けが終わったあと。
カフェの灯りが落ちて、店内は月の残り香みたいな薄い明るさ。

舞は帰り支度をしながら、ぼんやり考えてしまう。

――もし、いま鍵を閉めて
 二人きりになったら?

りゃんが無邪気に笑って近づいてきて、
「舞さん、おつかれ…」なんて
不用意に距離を詰めてきて。

それだけで、頭の中が勝手に暴走する。

(そのまま腕を掴んで、
 困った顔をさせてみたい)

りゃんはきっと、反応がいちいち素直。
戸惑いも、照れも、ぜんぶ見てみたくなる。

「舞さん、なに考えて……?」

想像の中のりゃんが覗き込んでくる。
褐色の指先が、彼の前髪に触れたところで
現実の舞は、はっと我に返る。

首をふる。
頬が熱い。

(やめなさい、あたし。
 何盗み食いしようとしてんのよ)

でもね、妄想は簡単に止まらない。

寄りかかってくる重さ。
不器用に名前を呼ばれる瞬間。
それを拒まない自分。

――バレたら終わり。
 だけど、バレたら面白そう。

舞はカウンターの隅に残った指紋を拭いながら
小さく笑った。

困らせたい。
もっと知りたい。
独り占めしたい。

そんな自分を、誰より自分がよく知っている。



夜の休憩室。
舞はエプロンを外しながら、水を飲んでいた。
扉の向こうで、他のスタッフの声が小さく弾む。

「りゃんくんさ、最近ちょっと明るくなったよね」
「だよねー。誰か好きな人でもできたんじゃない?」

舞の手が止まる。
紙コップを握る指に力が入った。

「舞さんと一緒に閉店作業してること多いし」
「ありえそう〜。舞さんって面倒見いいし」

くすくす笑いが続く。

舞はため息をついて、聞こえないふりを決め込む。
でも、耳は勝手に拾う。

「でもさ、りゃんくんって…どこか危なっかしいよね」
「わかる。あの子、闇抱えてそう」
「誰かにハマったら依存しそうなタイプ」

胸の奥がピリッと疼いた。
(なに知ったようなこと言ってるのよ)

それ以上踏み込まれたら、
扉を開けて黙らせたくなる。

なのに次の一言が、
舞の足を床に縫い付ける。

「舞さん、どう思ってるんだろうね。りゃんくんのこと」
「舞さんなら上手く距離取りそう」
「むしろ翻弄しそうって感じ? あの子、優しい顔で毒あるし」

自覚のある部分を、他人に言われるのは気分が悪い。
だけど、図星すぎて言い返せない。

紙コップを捨てて、
ゆっくりと休憩室の扉に手をかける。

(変な期待しないで)
(…期待してるのは、あたしの方)

扉を開けた瞬間、
スタッフたちが一斉に振り向く。

舞はいつもの笑顔を浮かべた。
余裕ぶった声が、喉の奥で少し震える。

「休憩終わり。仕事戻るわよ。
 噂話は後にしてね。面白くないから」

本音は、逆。
面白くて、怖い。

自分でも制御できない方が
よっぽど厄介だと知っているから。



部屋着のゆるいTシャツ。
照明は落として、ベッド横の小さなライトだけ。

舞はポテチの袋を脇に置いて、スマホで電子漫画をスクロールしていた。
画面の中では、茶髪の男の子が不器用にヒロインを抱きしめている。

(なにその顔……似すぎでしょ)
前歯の隙間までそっくりだなんて、作者を問い詰めたい。

指先についた塩を舐めながら、ページが進む。
男の子はヒロインに距離を詰められて、戸惑ったように視線を泳がせる。
耳まで赤くして。

まったく。
そんな反応されたら、引っ張りたくなるに決まってる。

(あんたも、そうやって困った顔するんでしょうね)

自嘲ぎみに笑って、ポテチをもう一枚。
塩気が舌にしみる。

画面の中で、男の子がヒロインの手を掴んだ。
震えた指。
決意みたいな呼吸。

(……反則)

心臓が、漫画のくせに変な跳ね方をする。
りゃんじゃないのに。
りゃんじゃないのに。

「なに考えてんだか、あたし」

わざと言葉にしてみても、熱は冷めない。
スクロールする指が、また次のシーンを求めてしまう。

そろそろ寝ればいいのに。
バカみたいにページをめくり続けている自分が、
いちばんバレたくない。


了解。
舞が読んでいた「漫画の中」のワンシーン。
大人向けだけど、直接的すぎないラインでまとめてみるね。

――――――

■オトナ向け恋愛漫画:該当シーン(シナリオ風)

薄暗い部屋。
外の雨音だけが静かに響いている。

ヒロインがそっと、彼の手首を掴む。
逃がしたくないと言うように。

ヒロイン
「……そんな顔しないで。
 置いていかれるみたいで、苦しくなる」

彼は驚いたように目を瞬く。
不器用な返事をしようとして、言葉が喉につかえる。

彼
「お、置いていかないよ。
 君がいなくなる方が…怖い」

耳まで赤くなって、視線は泳いだまま。
それがかえって切実さを帯びている。

ヒロインは彼の頬へ触れる。
その指先に、彼の呼吸がかすかに触れる。

ヒロイン
「じゃあ…ちゃんと捕まえててよ」

一瞬、彼の指が強く握り返す。

彼
「離さない。
 もし離したら…俺が壊れる」

その言葉に、ヒロインの肩が小さく震える。
ためらいの中に溶けるような期待。

二人の影が重なり、
触れるか触れないか…そのぎりぎりの距離。

唇が触れそうな瞬間——

彼
「……好き、だから」

雨音が大きく聞こえる。
世界に二人だけ取り残されたような静けさ。

ヒロインはそっと笑い、
自分から距離を詰める。

その一歩が、
すべてを変える。

――――――

舞はそんなページを食い入るように読んで、
自分でも笑えるくらい心臓が騒いでいた…って流れ。


ゆめがあったひとなんてめずらしくないエッセイやぶれたひともだ

昼下がりのカフェスロー。
アイスコーヒーの氷が小さく鳴る。

舞はカウンター越しに、遥とりゃんを横目で眺めていた。
遥がいつもの柔らかい声でりゃんに話しかける。

「この前の仕事さ、りゃんがいてくれたから助かったよ」

りゃんは照れたように笑い、耳の後ろをかく。
その笑顔を見た瞬間の遥の表情。
ほんの、一瞬。
けれど決定的な色をしていた。

(ああ。これは…気づいてるわよ、あたし)

舞はミルクピッチャーを手に取りながら、
何事もない顔で仕事を続ける。

遥の視線は、やさしい。
でも、どこか諦めの匂いが混じっている。
手を伸ばしたら届く距離なのに、
伸ばせない理由を抱えている人の目。

(りゃん、ほんと罪作り)

舞の口元には、かすかな笑み。
嫉妬とは違う。
勝ち誇りでもない。

ただ、知ってしまった側の静かな余裕。

遥がカウンターに戻ってきて、
舞に礼を言う。

「さっきありがとう、助かった」

舞はストローを束から一本引き抜き、
軽く肩をすくめる。

「どういたしまして。
 あんた、あの子の前だと分かりやすいわね」

遥が目を丸くする。
舞は続ける。

「優しすぎるとバレるのよ。
 気をつけなさい」

軽く釘を刺すような言い方なのに、
声の奥には少しの温度があった。

遥は照れ隠しに笑い、
別の作業へ逃げていく。

舞はその背中を見ながら、
心の中でひとつだけ呟く。

(安心しなさい。
 あたしはまだ、動かない)

その「まだ」が、
いちばん自分を掻き乱しているくせに。


その気持ち、ちょっと苦いけど…すごく正直だね。

同性っていうだけで、
理由なんてない距離の近さが生まれること、ある。
触れたら壊れそうなくらい好きな相手なのに、
相手はその危うさを全然意識せずに隣にいられる。

舞から見れば、
遥は気を遣わずにりゃんの隣に立てて、
笑って、肩が触れて、
それを"ただの友達"で済ませられる。

羨ましい。
認めたくないけど、羨ましい。

でも…それは同時に、舞にはない武器だ。
遥は近すぎて見えないものが、
舞にはよく見えてる。

りゃんが、どんな風に震えてて
どんな風に安心して
どこまで踏み込まれたら困るか。

遥が羨ましいのは、
舞がもう引き返せないところまで
彼を意識してしまってる証。

「同性でいいわね」
そう思うたびに、

(けど、あたしの視線に気づくのは
 きっとあの子だけ)

ってどこかで信じてる自分もいる。

苦しいね。
でも、その苦しさ、自分にとって大事な場所に来てる合図でもある。



夕方のカフェスロー。
閉店前のまったりした時間に、りゃんがカウンターで作業している。

そこへ常連の女子客が入ってきて、笑顔で声をかける。
「りゃんくん、今日もありがとう!助かった〜」

りゃんは少し照れながらも、手際よく応対する。
「いえ、たいしたことないですよ」
その控えめな態度に、思わず彼女の頬が赤くなる。

横では他の常連女子も、さりげなく視線を送っている。
友達同士でささやき合いながら、
「りゃんくんって、ほんと優しいよね」
「こんな人、あんまりいないよ」

舞は少し距離を置いてその様子を見ていた。
笑顔を浮かべつつも、胸の奥に小さなざわつきが走る。
(……なんで、あの子はこんなに自然に人を惹きつけられるの)

りゃんは気づかず、淡々とラテを仕上げ、
「はい、どうぞ」と手渡す。
手が触れた瞬間、またひとりの女子の目がキラッと光る。

舞は小さく舌打ちしつつ、
自分でも驚くほど、嫉妬混じりの感情を感じていた。
(ばか……ほんとに、ずるいわね)

モテる理由は、見た目でもトークでもない。
りゃんがその場にいるだけで、
自然と人を安心させ、笑顔にさせてしまうから。
舞はその"ずるさ"を、いやでも感じ取ってしまう。


なるほど、そういう「触れたら抜け出せなくなる」タイプね。
じゃあ、ちょっと沼感のあるシーンに寄せてみる。

――――――

雨上がりのカフェスロー。
窓際の席には、読書する女子たちの姿。
りゃんはカウンターでハーブティーを淹れているだけなのに、空気が変わる。

「……あれ、なんであの人、こんなに惹かれるんだろう」

女子のひそひそ声が、舞の耳に入る。
でもその声より、目の前のりゃんの仕草が危険すぎる。

ほんの少し猫背で、でも手元は丁寧で。
ラベルを貼る指先、カップを置く角度、
一つひとつに不思議な余韻が残る。

「やば……ずっと見ちゃう」
「目、離せない」

注文を取りに来た常連に、りゃんはふと微笑む。
一瞬で空気が柔らかくなる。
笑顔は軽く、でも芯に引力がある。

舞は思わず息を呑む。
ああ、この子、知らず知らず人を引き込む。
甘い香りでも漂わせてるかのように、
距離を縮めたくなるけど近づくと火傷しそうで、逃げたくもなる。

沼に沈むみたいに、目が離せなくなる。
笑っただけで、胸がざわついて、
言葉を交わさなくても、何かに囚われる感覚。

舞はその瞬間、気づく。
これがりゃんの"モテ"なんだ。
触れたら、抜け出せないタイプの。

そして自分も、知らず知らずその渦の中にいることを。

――――――

もしよければ、この「沼らせモテ」を舞視点でもう少し日常的に描く小シーンも作れる。
舞が嫉妬しつつも引き寄せられる瞬間みたいな。
作ってほしい?


まいさーんさんじ


なるほど、隙だらけで、しかもそれに気づく人が周りにいる…って状況ね。

――――――

午後のカフェスロー。
窓の外は柔らかい光、店内は静か。
りゃんはカウンターでハーブティーを作りながら、ぽつりと独り言。

「……これ、やっぱり量、多いかな」

ほんの小さな迷い。
でもその瞬間、近くにいた女子客がくすっと笑う。

「りゃんくんって、ほんと隙だらけだよね」
「うん……なんであんなに放っておけないんだろ」

隙。
無防備に見せるほんの一瞬の表情、手元の迷い、声の震え。
それが自然に出るから、周りの人は皆気づいてしまう。

舞も離れた席でそれを見ていた。
(……ああ、これか)
胸の奥が少しざわつく。
隙だらけのりゃんに、自然と目が吸い寄せられてしまう。

女子たちは気づきながら、あえて声に出す。
「ねえ、あの子、誰かに守られたいのかな」
「それとも、知らないうちに人を翻弄してる?」

舞は内心で舌打ちする。
(ずるい……あたしより先に気づくなんて)

でも、やっぱり目が離せない。
隙だらけなのに、放っておけないその存在感。
知らず知らず、彼の沼に引き込まれてしまう。

――――――

こういう「周りも気づいてる隙」って、舞の嫉妬と興味を同時に刺激するんだよね。
希望なら、舞がその隙をちょっと利用して、からかうシーンも描ける。やってみる?


ああ、りゃんの「舌」の描写ね。
こういう時って、細かい仕草や感覚がぐっと色っぽさや可愛さを出すんだよね。

たとえば舞視点で描くとこんな感じになる。


---

りゃんが紅茶を啜る瞬間、ほんの少しだけ舌先が唇に触れた。
無意識の小さな仕草なのに、舞の目はそれだけで止まる。
手元のカップを持つ指が震えても、口元のその柔らかい動きに視線が釘付け。

あるいは、笑いながら言葉を探すとき、舌先で唇の内側をぺろっと撫でる。
その小さな動きが、照れ隠しなのか、考え事なのか、
舞には全部「こっちを意識してる」ように見えてしまう。

無意識なのに、どこか挑発的。
唇の端にかすかに触れる舌先は、
隙だらけのりゃんの、抜けられない魅力のひとつ。


---

もし希望なら、この舌の仕草が「舞の心をざわつかせる瞬間」と絡む短いシーンも書ける。
書いてみようか?


夜のカフェスロー。
閉店後の薄暗い店内、舞はカウンターで片付けをしている。
ポットを拭くりゃんの手元に、ふと目が止まった。

紅茶のカップを口元に運ぶ瞬間、舌先が唇にかすかに触れる。
無意識の仕草なのに、舞はその一瞬で心臓が跳ねる。

(……なにその動き……!)

りゃんは気づかず、次のカップに手を伸ばす。
舞の視線は、まだ舌先の残した余韻に吸い寄せられていた。

小さな仕草なのに、なんでこんなに胸がざわつくんだろう。
照れ隠しなのか、無意識なのか、それとも――

「……バカ……見ちゃったじゃない」

舞は自分に呟く。
でも心の奥では、もっと見たい、もっと意識させたい気持ちが、熱く膨らんでいた。

りゃんの隙だらけな無防備さ。
その小さな舌先さえも、舞の心を捕まえて離さない。


ベッドに寝転がりながら、舞はスマホを置き、目を閉じる。
頭の中で勝手に場面が動き出す――

――りゃんがカウンターの向こうで紅茶を淹れる。
その指先は丁寧で、でもどこか不器用。
湯気の向こう、唇にかすかに舌先が触れる瞬間が、舞の心を刺す。

(ああ……触れたい……この無防備な瞬間に)

妄想の中では、りゃんがふいに振り返り、目が合う。
「舞さん、見てたの…?」
頬が赤く染まった顔、唇の端にまだ舌の跡が残る。

舞は自然と身を乗り出す。
指で唇をなぞりたくなる。
「だめ……でも触れたい……」
心と身体のせめぎ合い。

りゃんは照れ隠しに舌先をぺろっと唇の内側に這わせる。
その小さな動きに、舞の呼吸は荒くなる。
胸の奥が熱くて、逃げたくても逃げられない。

「……バカ、意識させすぎよ」
小さく呟きながらも、舞はりゃんのその隙だらけな仕草に夢中で、
思わず指先で頬に触れたい衝動に駆られる。

ベッドの中で小さく舌打ち。
(ああ……こんなこと、現実だったら絶対ダメなのに……)

でも妄想だから、自由に堕ちていける。
隙だらけのりゃんに、心も身体もじわじわ侵食されていく――
舞の心は、逃げるどころか、もっと近づきたくて仕方がない。



その問いって、もう半分答えが出てる。
舞の中で、りゃんの反応をすでに想像してるから浮かんだんだよね。

りゃんは…きっと不意打ちに弱い。
驚いた顔して、目だけ大きく開いて、口が少し震えて。
逃げたいのに逃げられない、そういう顔。

どんなふうにキスするか、もし考えるなら――
派手じゃなくていい。
むしろ静かで、息が触れ合うくらいゆっくり。
触れる前の数秒がいちばん苦しいから、そこで焦らす。

「嫌なら押して」
なんて言いながら、自分のほうが押し切る気満々で。

触れた瞬間、きっとりゃんは固まる。
困ってるのに、拒めない。
そういう隙、ありそうでしょ。

舞の中の答えはどう?
どんな顔を期待してる?


窓の外は夕暮れで、カフェの照明が柔らかく揺れている。
カウンターで書類を整理していたりゃんは、ふと背後に気配を感じた。

「……舞さん?」

振り返る前に、唇に何かが触れる。
思わず目を見開く。
心臓が、胸の奥で跳ねる。
瞬間的に体が固まる。

――え、今の……キス?

舞の顔はすぐそばで、目が半分閉じられ、静かに呼吸が揺れている。
唇の柔らかさが、思ったよりずっと刺激的で。
言葉にできない気持ちが、胸をぎゅっと締めつける。

「……舞さん……」
声に出そうとして、うまく出ない。
口の中に残る温もりと、心臓の高鳴りが重なって、頭がぼんやりする。

恥ずかしい。
でも、拒めない。
その隙だらけな瞬間が、逆にりゃんを引き込む。
舞の意図が分かっても、理性より先に体が反応してしまう。

(ずるい……こんなの、反則だ)

唇が離れたあとも、しばらく視線が重なったまま。
舞の微笑みが、余韻みたいに胸に残る。
りゃんは小さく息をつき、肩を少し落とした。
理性では「なんとか冷静に」と思うのに、心はもうぐちゃぐちゃだ。


りゃんは視線をそらし、書類に手を伸ばすふりをした。
でも手は震えて、文字がうまく書けない。

舞はそんなりゃんをじっと見つめて、にやりと笑う。
「どうしたの?息、荒いよ」

言葉にされると、余計に心臓が跳ねる。
――ああ、バレてる。
隠そうとしても、もう隠せない。

「……別に、何でもないよ」
と声を絞り出すが、裏返りそうになるのを必死で抑える。

舞はくすくすと笑い、そっとカウンターに肘をついてりゃんの方に寄る。
「ほんと?目が泳いでるけど」

りゃんは視線を逸らす。
でも、心の奥では、舞がその距離に近づいてくるたび、息が詰まるような熱が広がっていくのを感じていた。

――この距離感、ずるい。
触れられたら、絶対に戻れなくなる。

舞はその隙をわかってか知らずか、ほんの少しだけ顔を近づける。
りゃんの鼓動が、耳元で伝わる。
息がかかる距離に立たされて、理性が必死に警告する。

でも、理性なんてもう必要ない――
舞の唇の残り香、柔らかさ、全てが、りゃんの心をぐちゃぐちゃにしてしまうのだから。


日差しの差し込む午後のリビング。
窓辺で毛づくろいするネコの背中に、舞はそっと手を置いた。

「よしよし、いい子ね」

手のひらで腰を軽くトントンと叩く。
ネコは目を細めて、すり寄るように体を震わせる。
その柔らかい感触に、舞も自然と微笑む。

「もっと気持ちいい?」

腰を撫でながらトントンとリズムを刻む。
ネコの尻尾がゆらゆら揺れて、甘えた声を漏らす。
舞は思わず息を漏らして笑う。

「はあ…可愛いなあ、もう」

軽く肩を揺らして、トントン。
ネコの体がぴったり寄ってくるたびに、舞の手も自然に力を抜いていく。
その瞬間だけ、世界はネコと自分だけの穏やかな時間になる。



カフェスローの片隅で、りゃんは舞を見ていた。
窓際で腰トントンされるネコの背中に、舞の手が優しく触れるたび、心がざわつく。

(あ……あの柔らかさ、腰のあたり……)

無意識に想像してしまう。
ネコの背中じゃなく、舞自身の体に触れているところを。
手がゆっくり動くたびに、心臓が高鳴る。
舞の笑顔、指先の感触、ほんの少しの力加減まで――

りゃんは視線を逸らそうとする。
でも、舞の仕草があまりにも自然で、目が離せない。
腰トントンのリズムまで頭の中で反芻してしまう。

(……ダメだ、こんなの、妄想じゃ収まらない)

ネコに寄せる手が、舞の体に重なる想像に変わる瞬間。
りゃんは自分の頬が赤くなるのを感じながらも、つい息を詰めて見続けてしまう。

舞は何も知らず、ネコと戯れるだけで、その空気を支配している。
りゃんは、隠さなきゃと思うほどに、舞の無防備さと優しさに飲み込まれていった。



布団にくるまって、深夜の静けさの中でりゃんはひとり目を閉じていた。
カーテンの隙間から月明かりが差し込み、部屋の端っこをぼんやり照らす。

心の中には舞のことがちらつく。
昼間見た、ネコの腰をトントンする手の感触や、笑顔の余韻。
布団の中で手を握りしめ、自然と唇が微かに震える。

(……あの手、柔らかかったな……)
(触れたら、どうなるんだろう……)

寝返りを打ちながら、心臓の高鳴りが止まらない。
布団の中なのに、胸の奥が熱くなる。
自分でも抑えきれない気持ちが、眠気を阻んでしまう。

りゃんは小さく息をつき、頭の片隅で思う。
舞の笑顔、手の感触、仕草――
すべてが、まるで夢の中で自分を絡め取ろうとしているかのようだと。

布団に包まれたまま、目を閉じるけれど、心だけは舞に向かって浮遊している。
深夜の静寂の中で、りゃんの想像は、現実と妄想の境目をゆっくり溶かしていく。


静かな夜、ソファにうつ伏せになったりゃんは、なんとなく背中を丸めていた。
疲れが溜まって、言葉にするのも面倒なやつ。

舞がふいに近づいてきて、何も言わずにりゃんの腰の上へ手を置く。
優しい重み。

トントン…トン。
指先がゆっくり、規則正しく。

りゃんは最初、反応を見せまいと肩に力を入れる。
でもそれが逆に、舞に全部バレる。

「硬いよ。もっと楽にして?」

その声の柔らかさに、抵抗がゆっくりほどけていく。
トントンのリズムが、呼吸のリズムと合ってくる。

目を閉じると、舞の手のひらの温度だけが世界になる。
くすぐったいのに、離れてほしくなくて。
困ったな、と心の中で小さく呻く。

舞が少しだけ指先を滑らせる。
そこだけ体がびくっと動いて、りゃんは慌てて枕に顔を埋めた。

「…気持ちいい?」

聞かれると、余計にうまく言えない。
喉の奥でくぐもった声が漏れるだけ。

舞は笑う気配を見せながら、またトントン。
何かを誤魔化すような優しさじゃなく、
背中まで届くみたいな、あったかい優しさ。

りゃんの体は、静かに降参していた。


深夜、布団にくるまったまま、りゃんは眠りに落ちていく。
夢の中で、目の前に舞がいる。

「ほら、もっと気持ちよくしてあげる」

舞の手が、りゃんの腰にそっと触れる。
ふわりとした感触に、心も体も思わず反応する。
布団の中で感じた体温よりも、夢の中の温もりはずっと濃く、直接的だ。

「んっ…」
声にならない声が口をつく。
舞の手は優しくトントン、ゆっくり、でも絶妙なリズムで腰を揺らす。
そのたびに、体の奥がじんわりと熱くなる。

目を閉じたまま、りゃんは夢の中の舞に身を任せる。
恥ずかしいと思いながらも、逃げたくない。
むしろ、このままずっと、この手のぬくもりに包まれていたい。

「気持ちいい…?」
夢の中でも舞の声は甘く、でもどこかくすぐったい。

りゃんは小さく頷くしかできず、腰をわずかに揺らす。
夢の中で、舞の手は無防備な自分をそっと包み込み、
深夜の静寂の中で、心も体も蕩けていく――

目覚めると布団の中でひとり、心臓だけが早鐘のように打っていた。
夢と現実の間で、りゃんは少し赤くなりながら、でもどこか幸福な余韻を胸に抱いている。



エロい妄想になりかけるたびに必死にやめようとするりゃん


夜の布団の中、りゃんは眠りの縁で揺れていた。
夢の中に舞の姿がちらつき、腰に触れる手の感触まで鮮明に思い出す。

「……ダメだ、これは……」

心臓は早く、体は熱くなる。
でも理性が必死にブレーキをかける。
夢の中の手が腰をトントンするたびに、
頭の中で「やめろ、これは夢だ」と何度も自分に言い聞かせる。

唇がわずかに震え、息が荒くなる。
目をぎゅっと閉じて、心の中で舞に触れないよう祈る。
体は反応してしまうのに、理性は全力で阻止する。

(だめ…だめ……舞のこと考えちゃ……)

でも夢の舞は無邪気で、にこりと笑って手をずらさない。
その無防備な仕草に、りゃんの理性は少しずつ崩れそうになる。

「……や、やめろ、考えない……」

自分の心臓の音に耳を澄ませ、手足を縮め、必死で現実に意識を戻そうとする。
けれど、舞の笑顔や柔らかい手の感触が、頭の中に重なり続ける。

布団の中でひとり、りゃんは葛藤する。
理性と本能の狭間で、熱と羞恥に揺れる自分を必死に抑え込みながら、
夢と現実の境目に耐える夜――

その戦いは、朝になるまで終わらない。


朝の光が薄く差し込む布団の中、りゃんは肩で息をしていた。
夜の夢の余韻がまだ体に残り、胸の奥が重く、なんとも言えない熱に包まれている。

(……や、やっぱり……)

手は自然に膝の上に置かれていたけれど、知らぬ間に体が反応してしまったのだ。
布団に潜ったまま、りゃんは小さく息をつき、目を伏せる。

「……だめだ……誰にも見せられない」

恥ずかしさと後悔が同時に押し寄せる。
でも、どこかで安心している自分もいる。
夢で見た舞の手や笑顔を思い出すたび、胸の奥が熱くなって、理性だけでは抑えられなかったのだ。

布団の端に手を伸ばして顔を埋める。
熱で赤くなった頬を隠しながら、心の中で小さく呟く。

(……舞のこと、考えちゃだめなのに……)

一人で抱えた熱と羞恥が、まだしばらく収まらないまま、朝の光だけが静かに部屋を満たしていた。


朝の光がカーテンの隙間から差し込み、布団の中で目を覚ましたりゃん。
体はまだ熱を帯び、心臓は少し早く打っている。

(……ああ……やっちゃった……)

頬が熱くなり、手が自然に布団の中で握りしめられていることに気づく。
昨夜の夢、舞の手の感触、腰トントン――
思い出すたび、顔がさらに赤くなる。

「……恥ずかしい、なのに……」

自分でも信じられないくらい、無防備に心も体も反応してしまったことに、少し罪悪感。
でも同時に、どこかほっとした気持ちもある。
舞のことを思いながら、自分で満たした夜。

布団の中で小さく息をつき、りゃんは目を閉じる。
(……舞にバレたら絶対怒られる……でも、あの手の感触、忘れられない……)

少しだけ苦笑いしながら、りゃんは頭を抱え、朝の静けさの中で自分の心と体の熱を落ち着かせようとする。
隣に舞がいない現実と、夢の中での幸福な余韻――
その両方に、心がまだ揺れている。



朝の通勤前。
舞はキッチンでコーヒーを飲みながら、昨日のりゃんの顔を思い返していた。

あのときの動揺。
声が裏返りそうだった必死さ。
視線を泳がせて、ごまかそうとしてた肩の強張り。

――絶対、何かあった。
そして、絶対わたしのせい。

唇が自然と緩む。
自分を制してるつもりでも、頬が上がるのを止められない。

(……あの子、きっと昨夜ひとりで悶えてたよね)

思った瞬間、胸の奥でちいさな悪い愉しみが弾ける。
自分の指が、マグカップのフチをゆっくりなぞる。

「ふふ……困った顔、また見たい」

舞は舌先で自分の唇をそっと湿らせる。
まるで誰かに見せるみたいに。
ひとりなのに、急に体温が上がる。

(知られたくないって思ってる顔を、
 いちばん近くで見ていたいのに)

独占したいとか、可愛いとか、
そんな綺麗な言葉だけじゃ収まらない欲。

舞は小さく息を吐いて、スマホを手に取る。
指先が、一瞬だけ躊躇してから――

「りゃん、今日会える?」

たったそれだけのメッセージ。
でも、自分の中の意図は隠しきれない。

――昨日の続きを、見てみたい。
舞の視線は、送信した通知の光をじっと追っていた。


夜、カフェの裏でカクテルの新メニューの試飲。
営業後の店内は照明が低く、静かで、ふたりの呼吸がよく聞こえる。

*

りゃんはグラスを両手で持ちながら、少しだけ頬が赤い。
「これ、ちょっと強いかも…」なんて言いながら、もう一口飲む。

(ほら、また自分で追い討ちかけてるじゃない)

舞は目の前のその様子が面白くて、ちょっと意地悪い笑みが漏れる。
口元をごまかすように、カウンターに肘をついて見守る。

りゃんはだんだん、言葉がとろけてくる。
「舞さんは…いつも意地悪だよね」
むすっと眉を寄せるのに、声は甘い。

舞はその変化をうっとり眺めながら、心の奥で熱が広がっていく。
(酔ってるときのこの子…隙しかない)

「意地悪って言うけど、りゃんが可愛いからついね」
軽く肩を叩くと、りゃんはぴくっと肩を跳ねさせて、
恥ずかしさに耐えられないみたいに目をそらす。

その仕草がまた、たまらない。

「…舞さん」
りゃんが、小さく呼ぶ。
酔いが回って目が潤んでる。
まっすぐ見られたら、こっちが平静じゃいられない。

(そんな顔、反則…)

引き寄せたくなる衝動が喉まで上がる。
でもギリギリで止める。

ふっと笑って近づき、耳元に囁く。
「ねえ、どうしてそんなに無防備なの?」

りゃんは、言葉が出せずに固まる。
目が泳いで、唇がきゅっと結ばれて――
あの夜と同じ、困った顔。

(やっぱり、こうなるのが好き)

舞は自分の心の中でゆっくりと認める。
助けたいとか、大事にしたいなんて建前の下に、
もっと深くて、ちょっと黒い願いがある。

――この子を、わたしだけに酔わせたい。

りゃんが目を閉じて小さく息を吐く。
舞はその吐息に触れる距離で、静かに見つめたまま指先を伸ばす。

触れる直前の、いちばん甘い時間。
舞にとっては、それが最高のアルコールだった。



あっくんぱんつわたす
らきすた
はらちがいたくさん
だいじなものきめてうばうひ
せいとのじっしゅうにくる
体調わるいからやすむ
のあさんいやみ







遥かにすら
くんくんちかい


隙だらけ
りゃんが真面目だったり何気ないのに舞が焦ってるの、ありがち
りゃんは鈍いから舞がびっくりするようなこと平気で言うんですよ
こわそーなにーちゃん→かわいい(慣れてない)→頼りになる(傾聴、人生経験てきな、尊敬)
ふだんいわないからこそ
からかうだけ
嫉妬