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高次脳機能障害の話

 私、ロマ・タイターニアは、12歳の夏の日、転んだ拍子に後頭部を打って前世を思い出した。
 そこまでは良かったのだが、この世界の私は、私が知っていた「私」ではなくなってしまった――転んだ後遺症のせいで。
「ロマ様の魔力の構成が、変わってしまわれております」
 医師によれば、私の元々の属性「闇魔法属性」が、転んだ時から「氷魔法属性」に変わってしまったらしい。
 前世の知識のロマは、純粋なる闇属性だった。
 これはどういうことなのか。私が人違いをしているのか、一過性のものか、医師の見立て違いか。
 首をかしげていると、医師であり魔法師のジョンソン博士は続けた。
「もしかしたら他にも後遺症が、あるやも知れません」
 そもそも、転んで後頭部を打った時点で、私は「運命」から外れていたのだ。
 つまり、私を運命の軌道から外そうとした外部抗力があったという事ではないのだろうか?
 知り合いに聞いてみたが、乙女ゲーム「魔法学園レッツナイト」を知っている人はどこにもいなかった。
「隠している…?ならばなぜ?せっかくの前世の知識を分かち合える友だと言うのに」

 気持ちに名前が付けられない。
 この感情、なに?
「ロマは、『恋』という感情をなくしてしまったのではないか?ほら、先の事故で、医師はほかにも後遺症があると言っていた」
「それは、取り戻すことはできないのか?」

「ほかに好きな男がいるのではないか」

「最近、誰かを探しているようだな」
まさか、日本人を探しているだなんて言えない。